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運動と免疫細胞

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マクロファージ

マクロファージマクロファージの第一の働きは、異物を貪食(自分の中に取り込んで分解する作業)しながらサイトカイン(元気づけホルモンのようなもの)を放出し、好中球やNK細胞など他の自然免疫細胞を刺激・活性化することです。

第二の働きは、MHCクラスTを通じてキラーT細胞に、MHCクラスUを通じてヘルパーT細胞に、異物の存在を教える(抗原提示)ことで、T細胞やB細胞などの獲得免疫細胞を刺激・活性化します。

マクロファージと運動マクロファージの活動と運動の相関関係は山型の放物線を描きます。あまり負荷の高くない運動であれば、マクロファージの抗ウイルス性や走化性(カラダ全体をパトロールする運動能力)、貪食能(ウイルスなどの異物を食べる能力)、サイトカイン放出性(他の細胞を活性化する能力)が高くなりますが、負荷の高い運動(ウルトラマラソンなど)の後は、ウイルスなどの異物を補足する能力が低くなるというヒトに関する研究結果が出ていて、そういった場合は感染症などへの注意が喚起されています。

犬に関する信頼できるデータは持ちあわせておりませんが、おそらく同じような結果が出るのではないかと推察しています。

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樹状細胞

樹状細胞樹状細胞も、マクロファージ同様、異物を貪食しながら抗原提示を行う、自然免疫にも獲得免疫にも大きな影響を与える免疫細胞です。

ラットに5週間持久性運動を与えたところ抗腫瘍効果を高めた、という研究結果がありますが、その結果から、運動により樹状細胞の抗原提示能やサイトカイン放出性が高まることが示唆されています。

また、負荷の低い運動はTh1型ヘルパーT細胞による細胞性免疫(ウイルス感染や細胞内細菌感染に対処)を、負荷の高い運動はTh2型ヘルパーT細胞による液性免疫(細胞外細菌感染や寄生虫に対処)を高めるものとされています。マクロファージとは異なり、樹状細胞や好中球は負荷の高い運動で増えると推測されています。

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NK細胞

NK細胞自然免疫システムで主役となるNK細胞はアドレナリンが分泌される適度な運動により活性化しますが、その運動も度を過ぎると活性低下につながる可能性が高いと言われています。

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好中球

好中球好中球もNK細胞同様自然免疫システムの主役となっています。適度な運動で活性化することも似ています。ただ、NK細胞とは異なり、高負荷運動でも数は増加するのですが、好中球の活性酸素はカラダに害を与える可能性も高い上に、免疫反応性が低下することから、高負荷運動の後に感染症にかかりやすくなる原因ともされています。

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好酸球

好酸球好酸球はその増加により喘息を誘発、あるいは重症化を招くとされており、運動誘発性喘息患者が運動で重症化する原因とされています。

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好塩基球

好塩基球好塩基球は、脱顆粒によりヒスタミンを放出することでアレルギーを引き起こす細胞です。運動により数が増減することはないとされていますが、運動誘発性(食物依存性運動誘発)アナフィラキシーは、そのヒスタミンが関与している可能性が高いとされています。

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T細胞

T細胞獲得免疫の主役となるT細胞は、適度の運動でやや増加します。NK細胞同様、運動も度を過ぎると活性低下につながる可能性が高いと言われています。

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B細胞

B細胞T細胞と並ぶ獲得免疫の主役となるB細胞は、他の免疫細胞と異なり、適度であっても運動ではさほど活性化しません。しかも、高負荷運動後は数が減り、高負荷運動が日常的に繰り返されるとなかなか元に戻らないとされています。運動の効果が得られにくい唯一の免疫細胞といえます。

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クレール・コンサルタント