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犬の胸椎と肋骨

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犬の胸椎犬の13個の胸椎(きょうつい)からは、左右にそれぞれ13本ずつ合計26本の肋骨が腹側に周り込むように下に伸びています。胸椎は背側の椎弓(ついきゅう)と腹側の椎体(ついたい)に分かれ、その間に椎孔(ついこう)と呼ばれる空間を形成します。頭方向から尻尾方向に連続して伸びる椎孔を脊柱管(せきちゅうかん)と言い、その中を神経の束である脊髄(せきずい)が通る仕組となっています。

犬の肋椎関節椎体は隣の椎体との間にクッション材となる椎間板(ついかんばん)を挟んでいます。つまり、脊髄は椎間板よりも背側を走っていることになります。

胸椎と肋骨をつなぐのが肋椎関節(ろくついかんせつ)です。肋椎関節には、肋骨と椎弓をつなぐ「肋横突関節(ろくおうとつかんせつ)」と、肋骨と椎体をつなぐ「肋骨頭関節(ろくこつとうかんせつ)」の2種類があり、それぞれの場所で肋横突靭帯や肋骨頭靭帯が弾力性を保ちながらもしっかりと固定させています。

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肺呼吸の原動

肋骨は硬い骨として内臓を守るだけでなく、肺呼吸を行うための大切な機能も持っています。横隔膜(おうかくまく)や肋間筋(ろっかんきん)といった筋肉で肋骨を動かし、肋骨で囲まれた「胸郭(きょうかく)」という部屋を拡げることで、外の空気を肺に吸入させるという仕事です。

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肋骨の動き

犬の肋骨の動き

肋骨が拡がる時、犬を上から見て横に膨らめばたくさんの空気を吸入できそうなのですが、実は前半部分の肋骨は前方向かつ下方向に動き、後半部分の肋骨は前方向に動き、最後尾の肋骨である「浮遊肋(ふゆうろく)」だけが横に膨らむ動きをします。

人の肋骨の動きについては、上半部分は上方向かつ前方向に動くので「ポンプの取っ手の動き(Pump hundle movement)」、下半部分を上方向に動くので「バケツの取っ手の動き(Bucket hundle movement)」、そして横に膨らむ浮遊肋の動きを「はさみのような動き(Caliper movement)」と称しているのですが、人も犬も肋骨の動きは基本的に同じです。基本的には前に動くものだと覚えていただければほぼ正解です。

浮遊肋以外の肋骨は腹部にある胸骨で左右がつながっていますので、横に膨らむように動くことはできず、前や下にしか動くことができないわけです。

犬の肋骨の動き犬の肋骨の動き

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肋骨の可動角度

犬の肋骨の角度

前記の3種類の動きに応じて、肋骨と関節している胸椎も形がそれぞれ微妙に異なっています。

前半部分の肋骨と関節する胸椎(左図の一番上)はウサギの耳のような「横突起」が大きく横に張り出し、肋骨が膨らむ動きを制限していますが、後ろに行くに従って(左図の上⇒中⇒下)その張り出しが短くなって肋骨が横に膨らめるようになっているのです。一番下の胸椎は浮遊肋と関節するもので、張り出しはほとんどありません。

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肋骨の可動域と運動

この肋椎関節の可動角度は運動にも影響してきます。地上運動で肋骨の動きが制限されることはほとんどありませんが、水泳の時にはその水圧で運動が制限されることになります。肋骨の運動が制限されるということは、呼吸活動が制限されるということであり、いわゆる心肺機能に影響を及ぼすわけです。

水泳は水の抵抗を受けながら呼吸しなければならないのですが、カラダ全体が前進しながら肋骨を前方に運ばなければならないため、その抵抗はかなり大きなものになります。ただでさえ水圧で膨らみにくくなっている肺は、水の抵抗が加わることでさらに膨らみにくくなるわけです。

水泳が呼吸制限下の運動であり、心肺機能を向上させる有意な運動である反面、心肺疾患を抱えた犬にとって危険な運動である理由はここにあります。

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クレール・コンサルタント