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人の神経リハビリテーション

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脳梗塞などで麻痺になった人のリハビリテーションは、以前は、患側(麻痺した手足)を使わせずに、健側(麻痺のない手足)でADL(Activities of daily living:日常の生活動作)を行わせることを目的として行われていました。それは、脳や脊髄といった中枢神経は一度損傷を受けると再生できないため、患者のQOL(Quality of life)を向上させるには、患側の機能を健側で代用させるしかないと考えられていたからです。

ところが、昨今、中枢神経もさまざまな形で再生を図る能力を持っていることが明らかになり、その可塑性に注目した神経リハビリテーション(ニューロリハビリテーション)と呼ばれる方法により再歩行を実現できる患者が増えてきました。

犬の神経リハビリテーションでも、その考え方を参考に、再歩行を目指す施設が増えつつあります。

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姿勢筋緊張

立位保持運動ボバース概念では、神経リハビリテーションにおいても、立位保持運動の必要性を説いています。

抗重力機能は、筋肉の緊張が続いてはじめて成立するのですが、筋肉の緊張には神経の働きが必要です。立位を保持するためには主に伸張反射(伸びた筋肉を元に戻そうとする反射運動)による姿勢反射が必要であるため、立位保持運動は、整形リハビリテーションとしての抗重力筋強化とともに重要なプロセスとなっています。

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CI療法

CI療法片麻痺の患者のリハビリテーションにおいて、健側の動きを制限し、患側による運動を促す療法です。人医療でのこの療法は、患側が動く喜びがモチベーションとなり、それが患側で動かそうという意思になり、「動かそうという意思が運動につながる」ことで神経の再生・促通を図ろうという療法ですが、ややもすると、患者に過大なストレスを与える可能性があります。

犬のリハビリテーションでも、健側の足裏に障害物を貼り付けたり、患側の足首にウェイトを装着してなるべく患側を使わせる手法(強制下制)が採られることがあります。ただ、これは、主に患側の筋力強化や骨強化を主な目的としていて、神経促通を狙って行っているケースは少ないようです。

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促通反復療法

促通反復療法患者が意図する運動を他動反射運動で短時間に反復させることで神経の再生を図る療法です。犬のリハビリテーションでも、反射運動を繰り返し行うことで神経促通を図ろうとする療法があります。

この療法は、患者の意図を興奮に変えることが重要とされています。犬では、反射運動の発現からどう随意運動に持っていくのかがむずかしいかもしれません。

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HANDS療法/BMI療法

HANDS療法この療法は、患者の意図を電位の変化で捉えて、患側に電気刺激を与えて動かそうというリハビリテーションです。高価な装置が必要となりますが、犬用の通電装置が開発されれば、地上でのリハビリテーションが大きく進展するかもしれません。

電位の変化を運動器の近くで捉えるのが「HANDS(Hybrid Assistive Neuromuscular Dynamic Stimulation)療法」、脳で捉えるのが「BMI(Brain-Machine-Interface)療法」です。

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ロボット療法

ロボット療法HAL患者の意図を筋肉に伝わる電位信号で読み取り、その信号を捉えたロボットが運動器の機能を支援して強制的に運動を与えます。結果として、患者の意図で運動が行われることにより、脳神経と筋肉がつながるという仕組みです。機序の詳細は、「医と人間(岩波新書):革新的ロボット治療を創る(山海嘉之筑波大教授)」に書かれています。

犬用のロボットなど夢のまた夢ですが、人のリハビリテーションではかなり効果の高い療法だと思います。

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クレール・コンサルタント