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犬と運動連鎖

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犬の階段歩行運動連鎖とは、一つの動作の中でいくつかの関節が連動して動くことを言います。例えば、階段を一歩上がろうとする時の後肢の足上げ動作は、股関節の屈曲と膝関節の屈曲が連動していて、股関節を屈曲できても膝関節を屈曲できなければ、あるいは膝関節を屈曲できても股関節を屈曲できなければ、その動作を行うことはできません。運動連鎖があってはじめて、一つ上の段に足を運ぶことができるわけです。

さらに、階段の上の段に着地してからの踏み上げ動作を考えてみましょう。その時も股関節の伸展と膝関節の伸展が連動しますね。これも運動連鎖です。

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OKCとCKC

運動連鎖はOKC(Open Kinetic Chain:開放性運動連鎖)とCKC(Closed Kinetic Chain:閉鎖性運動連鎖)に分けられます。OKCは遠位が自由に動く状態での動作、CKCは遠位が動かない状態での動作です。……よくわかりませんね。

「遠位」というのは体幹から遠い部位のことで、腕で言えば肩よりも手のひら、脚で言えば太ももよりも足先が「遠位」となります。立った状態で何も持たずに肘関節を屈伸させる運動はOKC、手を壁に押し付けたまま肘関節の屈伸をする運動はCKCとなります。ベッドの上で仰向けになって自転車漕ぎ運動をやるのはOKC、地上でスクワットをやるのはCKCです。
少しわかりにくいかもしれませんが、手先や足先が自由に動く状態の運動がOKCで、CKCは手先や足先が自由に動かないよう地上や壁など外部からの摩擦抵抗を受ける運動となるわけです。

OKCは他の関節や筋肉に負荷を掛けない状態で目指す関節や筋肉に負荷を掛けることができますので、目指す関節や筋肉を強化するために役立つシーンがたくさんあります。CKCは目指す関節や筋肉を強化しようとしても他の関節や筋肉にも負荷が掛かりますので、それが不都合なシーンもあれば好都合なシーンも出てきます。ただ、一つのCKC動作では運動神経も連動していますので、神経機能の連動性を円滑にする運動としてはCKCの方が適しています。

先のパラグラフでの階段歩行について言えば、足上げ時の足先を地面から離した後で股関節や膝関節を曲げる運動はOKC、踏み上げ時の足先を地面に着けてから股関節や膝関節を伸ばす運動はCKCとなります。

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歩行と水泳

歩くという動作と泳ぐという動作では使われる筋肉も脳の指示も異なる、つまり同じ全身運動でもカラダの使い方は異なる、ということは下の動画を見比べていただければ簡単にご理解いただけるかと思います。

泳いでいる時は地上の摩擦抵抗は受けませんが、水の抵抗は受けます。水の抵抗は地上の摩擦よりも小さく空気抵抗より大きい抵抗です。抵抗のある水を掻いたり蹴ったりして推進力を得ていますし、神経や関節の連携で前進動作を行いますのでCKCの一つに分類されることになります。

水泳は立位保持や神経促通などの点で非常に有意なCKC運動なのですが、歩行リハビリテーションなどで「泳がせれば歩けるようになる」という単純な図式は成り立ちません。歩行と水泳では運動連鎖が異なるからです。歩行リハビリテーションにおけるスイミングは、大腿四頭筋やハムストリングス、腓腹筋などの屈筋強化や神経促通を目指すひとつのプロセスに過ぎないのです。

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トレーニングとしての運動

歩行時の運動連鎖を円滑にするためにはどういったトレーニングが適しているのか。それは、当たり前ですが「歩行運動」です。上手に歩けるようになるためには、無理しない範囲でひたすら歩く。それしかありません。

サッカーでも野球でもバレエでも、運動という運動はその運動をひたすら繰り返すことが基本だと思います。

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クレール・コンサルタント