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犬の後肢筋

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後肢の筋肉

「大腿四頭筋」とは、「大腿(太もも)部」にある「四頭筋(4つの頭を持つ筋肉)」です。太ももの前部にあります。

「ハムストリングス」は、太ももの後部にある4つの筋肉群です。

大腿四頭筋とハムストリングスは、膝関節の屈伸に関しては、一方が伸びれば一方が縮み、一方が縮めば一方が伸びます。この関係を「拮抗(きっこう:お互いに逆の作用をする)筋」といいます。

両方とも屈筋としての働きと抗重力筋としての働きを担っています。屈筋として鍛える場合は負荷を掛けた屈伸運動、抗重力筋として鍛える場合は負重を掛けた立位運動を行わせます。例えば、水泳は屈伸運動として屈筋トレーニングになりますが、抗重力筋トレーニングとしてはもう一つですし、バケツを持って廊下に立たされる運動は、抗重力筋トレーニングにはなりますが、勝手にスクワットをやらない限り、屈筋トレーニングにはなりません。

犬は、体重の約6〜7割を前肢で支え、後肢は3〜4割を受け持っています。加齢とともに弱ってくるのは普段あまり負荷の掛からない後肢ですので、若いうちに後肢筋を鍛えておきましょう、というのが私たちの考えです。後肢筋は大腿四頭筋やハムストリングス以外にもたくさんありますが、運動連鎖の関係から、この2つを鍛える運動をやらせれば、他の後肢筋もおのずと鍛えられると考えています。

後肢筋が鍛えられているかどうかは、触って太さを調べるだけでわかります。

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大腿四頭筋

musculus-quadriceps-femoris太ももの前部にある大腿四頭筋は、「大腿直筋」「外側広筋」「中間広筋」「内側広筋」の4つの筋肉が合体した一つの筋肉です。頭は4つありますが、膝に向かって一つの筋肉となり、膝蓋腱(膝蓋靭帯)となって脛骨につながりますので、「大腿四頭筋」という一つの筋肉としての名前がついています。

大腿四頭筋は太ももの前にあって、力を入れて大腿四頭筋全体を縮めると、股関節は屈曲(前方に曲がる)し、膝関節は伸展(前方に伸びる)します。

4つの筋肉の内、「外側広筋」「中間広筋」「内側広筋」の3広筋の頭は大腿骨の上の方についていますが、「大腿直筋」だけは頭が寛骨(腸骨部分)についています。「大腿直筋」だけは股関節と膝関節の2つの関節にまたがっていますので、膝関節の伸展だけではなく、股関節の屈曲にも関与しているということになります。こういった2つの関節をまたぐ筋肉を「二関節筋」といいます。他の3広筋は膝関節をまたがっているだけですので「単関節筋」となります。

中間広筋はインナーマッスルで外から触ることはできないのですが、他の3筋肉は触るとわかります。

この犬はバランスボールに跳び乗ろうとして、股関節も膝関節も伸ばしています。
股関節を伸ばす(伸展)ためには臀筋やハムストリングスなど、どちらかというと太ももの後ろ側にある筋肉に力を入れなければなりません。太ももの前にある大腿四頭筋は股関節を曲げる(屈曲)という逆の働きがありますので、この筋肉に力を入れると股関節が伸びないのです。
その一方で膝関節を開く(伸展)動作は太ももの前にある大腿四頭筋の仕事です。そのためには大腿四頭筋に力を入れなければなりません。
となると、股関節と膝関節を同時に伸ばす時はどうすれば良いのでしょうか?

一言で「大腿四頭筋」と言っても4つの筋肉があると書きました。その内、大腿直筋は股関節を曲げる動作にも関係しています。だから、大腿四頭筋の内、大腿直筋だけは力を入れずに、3広筋で膝を伸ばせばよいということになります。

つまり、ひとつの筋肉であっても、運動内容によって力を入れる場所を選択しながら運動は行われているということなのです。

大腿四頭筋は随意筋と呼ばれる筋肉ですが、犬も人も「知らず知らずの内に」上手に筋肉を動かしているんですね。

また、「内側広筋」は萎縮しやすい(弱くなりやすい)筋肉として有名で、内側広筋が萎縮すると膝を傷めやすくなり、肢が外に拡がるようになりますので、後肢のトレーニングをやらせる時は、股を閉じる筋肉を鍛える運動も加えるようにしましょう。

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ハムストリングス

hamstrings太ももの後部にあるハムストリングスは、「大腿二頭筋」「半膜様筋」「半腱様筋」の4つの筋肉の総称です。「大腿二頭筋」は2つの筋肉が合体した一つの筋肉ですが、「半膜様筋」及び「半腱様筋」とは合体していません。つまり、ハムストリングスは、大腿四頭筋とは異なり、一つの筋肉の名前ではないので、筋肉群と呼ばれています。

イラストをご覧いただくとお分かりになると思いますが、ハムストリングスは太ももの後ろにある二関節筋ですので、力を入れてこの筋肉を縮めると、股関節は伸展(後ろに伸びる)し、膝関節は屈曲(後ろに曲がる)します。歩行時に後肢を後方に蹴り出す時は、ハムストリングスに力を入れます。

ハムストリングスは負荷を掛けて膝を曲げる運動や股関節を伸ばす運動で、屈筋としての機能を鍛えることができます。また、ハムストリングスも大腿四頭筋と同じく抗重力筋としての機能があり、その機能は、同じく立位を保持する運動(自重運動)だけで鍛えることができます。

ハムストリングスとは別に、膝の裏に短い「膝窩筋」という筋肉があります。この筋肉がこわばると膝を伸ばせなくなり、歩行困難の原因となりますので、日ごろから、膝の屈伸運動をやらせることも大切です。

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クレール・コンサルタント