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犬の骨格

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犬の骨格

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体幹の骨格

犬の頭蓋骨まずは、紙の左上に楕円形を書きます。頭部の骨です。もちろん頭部の骨は1個ではありませんが、代表的なものとして「頭蓋骨」とします。一般的には「ずがいこつ」と読みますが、解剖学上は「とうがいこつ」と読みます。

犬の頸椎頭蓋骨の右側から斜め右下に向かって小さい骨を7個連ねて書きます。これが首の骨「頸椎(けいつい)」です。人も含めてほとんどの哺乳類は7個あります。
頸椎の内、頭蓋骨に一番近いものを「環椎(かんつい)」、その次を「軸椎(じくつい)」と呼びます。

頭蓋骨の後ろの部分(後頭部)と環椎の間の関節を「環椎後頭関節(かんついこうとうかんせつ)」、環椎と軸椎の間の関節を「環軸関節(かんじくかんせつ)」と言います。

犬の胸椎首の骨から続くのは胸部の背中の骨「胸椎(きょうつい)」です。犬の胸椎は13個あります。人の胸椎は12個しかありません。後記しますが、この胸椎に肋骨がついています。

犬の腰椎胸椎の次は腰部の背中の骨「腰椎(ようつい)」です。犬の腰椎は7個、人の腰椎は5個です。犬の椎骨の数は「7・13・7」と覚えると早いと思います。頸椎7個、胸椎13個、腰椎7個という意味です。

犬の仙骨腰椎の後ろに「仙骨(せんこつ)」があります。なぜここまで「〜椎」だったのに、仙骨だけ「仙椎(せんつい)」と書かないのかと言うと、生まれたころは3つの小さな骨(仙椎)に分かれているのですが、成長するにしたがって3つがくっついて1つになるからです。その1つの骨になったものを「仙骨」と言うのです。ちなみに、人は5つの仙椎が1つの仙骨になります。

犬の尾椎最後は尻尾の骨「尾椎(びつい)」です。犬種(個体?)によって数が異なり、少ないものは6個、多いもので23個とされています。犬は尾椎のままですが、人の尾椎は3〜5個が癒合して「尾骨(びこつ)」という1つの骨になります。

犬の脊椎頸椎から尾椎までを「脊椎(せきつい)」と言います。「脊髄(せきずい)」に発音が似ていますが、「脊椎」の中を通る神経の束を「脊髄」といい、「脊髄」を守っている骨を「脊椎」と言いますのでお間違えないように。

【変形性脊椎症と変性性脊髄症】

この2つの疾病は読み方が似ていますが、まったく異なります。「変形性脊椎症」は、硬い骨である脊椎が「変形」する傷病で、「変性性脊髄症」は軟らかい神経の束である脊髄が「変性」する疾病です。

ここで「CTLS(シーティーエルエス)」というワードを覚えていただければどこかで役に立つと思います。
この脊椎は頸椎から仙椎までの椎骨のグループごとに順番に「C・T・L・S」と記号が付けられていて、さらに骨1個ずつ番号が付されています。頭に一番近い頸椎である「環椎」はC1、「軸椎」はC2、腰椎の前から5番目はL5といった具合です。カルテに「T13とL1の間のヘルニア」と書いてあったら、胸椎の最後の骨と腰椎の最初の骨の間にヘルニア症状が見られるということになります。
仙椎は仙骨という一つの骨になっていますが、ちゃんとS1〜S3までパーツとして附番されています。つまり、「頸椎はCで7個、胸椎はTで13個、腰椎はLで7個、仙椎はSで3個」というわけです。尾椎は「Co」と略されます。

ちなみに医学書などで「C8」というものが出てくることがあります。実は、脊髄から各部に出ていく末梢神経にも同じような番号が付けられていて、神経には「C8」が存在するのです。頸椎は7個しかないのに「C8」とはおかしいのではないか? と勘違いしないようにしましょう。

犬の肋骨次は肋骨(ろっこつ)の説明です。先ほど説明した胸椎にはカラダの下に伸びる肋骨がついています。犬の肋骨は13個の胸椎からそれぞれ左右についていますので、全部で13対の26個です。人は胸椎が12個ですので合計24個となります。

肋骨は肺や心臓などの各内臓を守り、動かすことによって肺呼吸を可能にする大切な役目を担っています。

犬の胸骨13対26個の肋骨の内、12対24個はそれぞれ左右が対になっていて 弾力性のある「肋軟骨(ろくなんこつ)」を通じて、下の8個のパーツから成る「胸骨(きょうこつ)」につながっています。最後の3対はまとまって胸骨につながります。

13対26個すべての肋骨が先端は肋軟骨になってはいるのですが、最後の1対2個だけは胸骨につながらず、カラダの中で浮いた形になっています。

胸骨につながっていない肋骨1対2個を「浮遊肋(ふゆうろく)」と言います。呼吸の際、他の肋骨とは異なり、お互いがつながっていない分、横に広がる動きができます。人の「浮遊肋」は2対4個あります。

一番前方にある胸骨には「胸骨柄(きょうこつへい)」という突起部があって、犬を触っただけでもよくわかります。

犬についてはよくわかりませんが、人の場合、免疫細胞は、腸骨に次いでこの胸骨の骨髄で多く造られます。

「体幹」というワードは学術上定義が定まっているものではありませんが、ここでは四肢を除いたカラダ全体を指しています。

ということで、ここまでが「体幹の骨格」となります。

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前肢の骨格

犬の肩甲骨前肢の骨格について説明します。

胸椎の横から左下に長めの楕円形の骨を書いてください。これが「肩甲骨(けんこうこつ)」です。イラストではわかりにくいのですが、肩甲骨は体幹の骨格とはつながっていません。肩甲骨と体幹の骨との間には関節がなく、犬を持ち上げる時には横に広げないようにしなければなりません。人の肩甲骨は鎖骨を通じて胸骨とつながっていますが、犬は関節しておらず、肩甲骨は主に前後の回転や上下直進・前後直進の方向に動きます。正面から見て左右の方向には動きにくい作りになっているんですね。

犬の上腕骨肩甲骨に関節しているのが「上腕骨(じょうわんこつ)」です。この関節を肩関節と言います。一般的には「かたかんせつ」と言いますが、解剖学上は「けんかんせつ」と読みます。

犬の前腕骨上腕骨の下は「前腕骨(ぜんわんこつ)」です。「肘関節(ちゅうかんせつ)」で上腕骨と関節しています。

前腕骨は2つの骨の総称で、前にある細めの骨が「橈骨(とうこつ)」、後ろにある太くて長い骨が「尺骨(しゃっこつ)」です。つまり、肘関節は主となる2種類の関節(上腕骨と橈骨=腕橈関節、上腕骨と尺骨=腕尺関節)と橈尺関節(橈骨と尺骨)で形成されていることになります。

両方とも、高いところから飛び降りたり、他の犬と衝突して骨折するケースがよく見られる骨です。

下の動画をご覧ください。同じ動画を通常速度のものとスローにしたものです。通常速度で見ると、まぁ、よくある跳び下り風景で肘関節に大きな負荷が掛かっていることがわかりにくいのですが、スローにすると肘関節にかなり大きな負荷が掛かっていることがわかります。

犬の中手骨と趾骨(指骨)前腕骨の下にあるのが「中手骨(ちゅうしゅこつ)」で、それぞれの指に対応した5本の骨でできています。その間には、小さな「手根骨(しゅこんこつ)」を挟んで「手根関節(しゅこんかんせつ)」があります。

人の中手骨はてのひらの中にありますので、犬の歩く姿勢は、いわば、人が四つん這いになった時に、てのひらを浮かした状態で歩いているのと同じような姿勢と言えます。

前肢の一番先っぽには「趾骨(しこつ)」があります。後ろの趾骨と区別するために「指骨(しこつ)」と記載されている成書もありますし、前後とも「指骨」を使っているものもあります。

イラストでは3本の骨で表していますが、実際は、指は狼爪(ろうそう)を含めて5本ありますし、多くの細かい骨に分かれています。

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後肢の骨格

犬の寛骨最後は後肢の骨格です。

後肢は「寛骨(かんこつ)」に始まるのですが、この骨は生まれた時は3つの骨に分かれています。「腸骨(ちょうこつ)」「恥骨(ちこつ)」「坐骨(ざこつ)」です。この3つの骨が成長に伴って癒合し、寛骨となります。その際、下の大腿骨(だいたいこつ)」と関節するために、その「股関節(こかんせつ)」と呼ばれる関節部分に「寛骨臼(かんこつきゅう)」というくぼみができます。このくぼみがきれいにできあがらない状態を「股関節形成不全(こかんせつけいせいふぜん)」と言い、そうなると、将来、関節炎などを患ったり、はずれたりするリスクが高くなります。

前肢と異なり、寛骨は体幹の骨格である仙骨と関節しています。その名を「仙腸関節(せんちょうかんせつ)」と言い、ほぼ動かない関節とされています。仙骨も寛骨も成長に従って癒合していく骨ですので、成長期にはあまりこの辺りに不自然な強い負荷を与えないようにします。寛骨と仙骨がひっついたものを「骨盤(こつばん)」と言います。

前記のように、人のカラダでは、この腸骨の骨髄で最も多くの免疫細胞が造られます。

犬の大腿骨股関節の寛骨臼で寛骨と関節するのが、太ももの骨「大腿骨(だいたいこつ)」です。太くて頑丈な骨であり、走ったり跳んだりする時に大きな負重が与えられる、運動のために重要な骨です。

犬の膝蓋骨その大きな大腿骨の上にちょこんと座っているのが「膝蓋骨(しつがいこつ)」です。一般に「パテラ」と呼ばれていて、後肢のヒザの動きに応じて上下に動く「種子骨(しゅしこつ)」となっています。この骨の働きは運動に大きな影響を与えますので、別途ご説明します。

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犬の下腿骨その下は「下腿骨(かたいこつ)」です。下腿骨は前腕骨同様2つの骨から成っていて、前方にある骨は「脛骨(けいこつ)」、後方横から斜め前に出てくるのが「腓骨(ひこつ)」と呼ばれています。

大腿骨は「膝関節(しつかんせつ)」で脛骨と関節していますが、腓骨とは関節しておらず、「外側側副靭帯(がいそくそくふくじんたい)」でつながっています。

犬の中足骨と趾骨最後に「中足骨(ちゅうそっこつ)」と「趾骨(しこつ)」を書いて完成です。中足骨は小さな「足根骨(そっこんこつ)」を挟んで「足根関節(そっこんかんせつ)」で脛骨につながっています。

犬の中足骨と趾骨中足骨は、中手骨同様、5本の骨に分かれているのですが、これまた人では足裏に位置しています。つまり、犬の後肢の着地のしかたは、人が足裏を浮かした状態と同じということになります。

ちなみに、人や熊、猿、ウサギのように足裏をベタっと地面につけて立ったり歩いたりする動物を「蹠行性(せきこうせい)動物」と言い、犬のように浮かせて立ったり歩いたりする動物を「趾行性(しこうせい)動物」と言います。馬や羊のようなひづめを持った動物は「蹄行性(ていこうせい)動物」と呼ばれ、哺乳類の立位/歩行形式はこの3つに分けられることになります。

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説明がダラダラと長くなって申し訳ありませんが、ご自身で紙に書きながら覚えると早く覚えられます。もちろん、骨はこれだけではありませんし、形もかなりデフォルメしていますので、主要な骨の名前を覚える手段に過ぎないことであることをご了承ください。

犬の骨格

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クレール・コンサルタント