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ウォーターセラピーのコラム第三回目は、水中運動(水泳)が心肺機能に与える影響について、です。

心肺機能とは

心肺機能とは心臓と肺の機能のことで、心臓は血液を通じて全身に酸素や栄養を行き渡らせ、肺は血液で運ばれてくる二酸化炭素と酸素を交換する働きをします。肺で行われる、空気中の酸素を取り込んで二酸化炭素を体外に出すという作業を呼吸といいます。人も犬も空気中の酸素を取り込みその酸素を使って活動していますので、運動している時は、休息している時より多くの酸素が必要になり、呼吸回数も多くなります。

呼吸制限下の運動

オリンピックに出るようなトップアスリートたちが「高地でトレーニングをする」というニュースをよく見ます。これは、高地での酸素濃度の低い環境を利用しているもので、酸素の濃度が低いと、当然ながらカラダは酸素を取り込みにくくなるわけですが、その負荷が心肺機能や持久力の向上につながる、というわけです。人のクロールや平泳ぎなどは鼻を水の中につけますので、自由に呼吸することはできません。そのため一回の呼吸でより多くの酸素を取り入れ、カラダに酸素を送らなければなりません。これらは確かに「呼吸制限下の運動」と言えますね。しかし、では犬の水泳は?……というと、「犬かき」です。犬かきって、鼻を水面上に出して泳いでいますので、地上散歩同様、自由に呼吸できそうな気がしますよね。

確かに運動中呼吸できない時間はほとんどありません。でも、人も犬も、水の中にいるだけで酸素を思ったように取り込めない、そんなカラダの仕組みになっているんです。

胸を拡げて息を吸う

人も犬も、肺は肋骨で囲まれた胸郭というカゴの中にあります。横隔膜や肋間筋を収縮させて肋骨を動かし、胸郭を拡げることで肺が膨らみ、空気を取り込むことができる、それが「呼吸」です。つまり、空気が勝手に肺の中に入ってきているわけではなく、筋肉を動かして胸郭を拡げられないとなると、空気を取り込めないことになるわけです。

人の肋骨の動き

人の肋骨の動き 肺が空気を取り込む時の人の肋骨の動きについて説明します。肋骨の上半部分は上前方向に動いて胸郭を拡げます。動く方向が「ポンプの取っ手の動き」に似ていますので、「Pump hundle movement」と呼ばれます。下半部分は上方向に動きますので「バケツの取っ手の動き(Bucket hundle movement)」、最後に片側2本ずつある浮遊肋は横に膨らみ「はさみのような動き(Caliper movement)」と呼ばれています。

犬の肋骨の動き

犬も肋骨が拡がる時、横に膨らめばたくさんの空気を取り込むことが出来そうなのですが、左右の肋骨は下の胸骨でつながっていますので横に広げることはできません。人の胸郭を前に倒した形となって、前半部分の肋骨は前下方向に、後半部分は前方向に、最後の片側1本ずつある浮游肋だけが横に膨らむ動きをします。浮遊肋以外の肋骨は前や下にしか動くことができないのです。

犬の肋骨の動き

肋骨の可動角度

胸椎の可動角度浮遊肋以外の肋骨が横に膨らむことが難しいのには、肋椎関節の可動角度が関係しています。肋椎関節とは、イラストの「肋横突関節」と「肋骨頭関節」の両方を指しています。この2つの関節の配置によって、肋骨の動きが決まるわけです。

前半部分の肋骨と関節する胸椎は横突起が大きく横に張り出して肋骨が膨らむ動きを制限していますが、中〜後半部分にいくに従って横突起の張り出しが短くなって肋骨が横にもっと膨らめるようになっています。最後の浮遊肋の張り出しはほとんどありませんし、胸骨ともつながっていませんので、横に拡がることができるんですね。

長時間のお散歩など地上運動でも心肺機能を向上させることはできますが、陸上では肋骨の動きが制限されることはほとんどありません。

水中運動の場合、水圧が肋骨を動かす筋肉に負荷をかけて肺の動きを制限します。しかも、カラダ全体が前進するスイミングでは、呼吸のたびに肋骨を前方向に運ばなければならないため、水の抵抗はさらに大きくなり、水圧と水の抵抗を受けて肺はさらに膨らみにくくなるわけです。

高地トレーニング同様、呼吸が制限される運動になるため、心肺機能を向上させるにはよい運動になる、ということなんですね。

一度泳いだけでカラダが強くなる!というわけにはいきませんので、できれば続けて泳いで欲しいですね。ただし、肺や心臓など循環器に負荷を掛ける運動ですので、それらに疾患を抱えている犬を泳がせることはたいへん危険な運動になります。ご注意ください。

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