ウィジードッグクラブ

犬のしつけと訓練

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一方通行にならない

私がドッグトレーナーになる前から、実家はもちろんのこと父の職場や祖父母の家にもイヌがいました。つまり、私は、イヌに囲まれて育ったようなものでした。だから、おぼろげながらではありますが、自分のことを「イヌの扱いには慣れた人間」だと思っていたんですね。ところが、ドッグトレーナーを目指し始めたころ、いざイヌとコミュニケーションを取ろうとしても、イヌにいろいろなことを教えようとしても、うまくいかないことの連続だったんです。

そんな時、ふと気づきました。私の接し方は、イヌの気持ちなどそっちのけにした、ひとりよがりの「一方的な接し方」だったのだ、と。きっと、イヌたちがただ私に気を使って合わせてくれていただけだったのでしょう。見事なまでの恥ずかしい錯覚でした。

愛犬の問題行動の改善を期待してしつけ教室に来られるお客様を見ていると、「一方的な接し方」になっているなぁ、と感じることがよくあります。特に、はじめて犬を迎えた方は、そんな様子を見てとれることが多いような気がします。言葉によるコミュニケーションが取れない、しかも、思考方法も価値観もおそらくまったく異なる生き物が相手なのですから、どう接すればいいか、なんて、最初からわかるはずもないのですが……。

では、そんな方はどんなことから意識していけば良いのでしょうか?

空間と時間を共有する

私は、まずは同じ空間と時間を共有することが大切だと思うのです。それがお互いの距離を縮めるために必須だと思うのです。「いや、一緒に暮らしているし……。ほとんどの飼い主はそうなんじゃないの?」 そう思われるかもしれませんが、私の考える「共有」は少しニュアンスが違うんです。

どんな方法でもいいのですが、一番取り入れやすいのは「一緒に散歩すること」でしょう。同じ部屋にいても、それぞれが別のことをして過ごしている時間は、同じ時間を共有しているとは考えていないんです。一方、共通の意思や目的を持った散歩は、空間と時間を共有できるとても大切な時間になると思います。互いに相手を意識する、そんな時間が積み重なることで、次第にコミュニケーションが構築されていくと思うのです。もちろん、室内であっても一緒に遊ぶことは、散歩同様、コミュニケーション構築には大いに役立つでしょう。

変化をつける

空間と時間を共有できる散歩はすごく大切なのですが、時が経つとお互いにマンネリ化してしまいます。そうなるとお互いが空気みたいな存在になってしまい、いたずらに時間が過ぎるだけの散歩となりかねません。それでは、同じ空間と時間を生きているだけの話で、共有していることにはならないと考えています。つまり、共有のためにはある程度の感情の合致も必要だと思うのです。

そこで、コミュニケーション構築のための次なるステージとして、その空間と時間、つまり散歩に変化をつけることを提案したいと思います。

変化のつけ方はいろいろ考えられます。
・ 毎日違うコースを歩く。
・ 公園で一緒にいろんなことをして遊ぶ。
・ 河川敷でボーっと日向ぼっこをする。
・ スピードを頻繁に変えて歩く。

大切なのは、ヒトもイヌもムリのない範囲で変化をつけることであり、それを両者が楽しむことです。独りよがりになってしまうと、過去の私のように自分の楽しいを相手に一方的に押し付けることになってしまうのでご注意くださいね。

同じ空間と時間を共有した分だけ、互いの繋がりは強くなります。しつけ教室に通い続けてくれたお客様から、「生活が楽になりました!」と言っていただけたことがあります。そのお客様、確かに飼い主としてのイヌへの関り方が上手になっている面もありましたが、一番大きな要因は「ヒトとイヌが共有する空間と時間が増えたこと」かもしれないなぁ、と感じました。きっと一緒にいて一緒に楽しむ時間が増えたのでしょう。

空間と時間を共有する……そんなことを少しだけでも考えて過ごすと、イヌとの生活に変化が出てくると思います。

プロフ

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