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馴化-慣れさせること

「馴化」とは心理学の概念のひとつで、ある刺激を繰り返し受けることで、その刺激に対しての反応を徐々に示さなくなる現象をいいます。「慣れる」と同じような意味で使われる事もありますが、ニュアンスはやや異なりますね。

一般に、馴化は、「大きな刺激」より「小さな刺激」、「複雑な刺激」より「単純な刺激」の方が成立しやすいとされています。ただし、逆の概念である「鋭敏化(ある刺激に対して何らかの反応が生じる事)」に比べると、般化しにくい、つまり、刺激Aに対して馴化されても、刺激Bに対しては馴化の効果が出ない、似たような刺激には反応してしまう、といったことが多いのです。例えば、「車のクラクション」に慣れて落ち着いていられるようになっても、「警報機の音」にはそわそわするといったようなことです。馴化が般化しなかったケースです。

逆の「鋭敏化の般化」とは、「車のクラクション」にそわそわし始めたイヌが、「警報機の音」にもそわそわするようになったような場合ですね。

イヌが私たちヒトの社会で生活するためには、さまざまな刺激に慣れておく事がとても大切です。でも、それが一筋縄ではいかないのです。

刺激に慣れさせる

パピーとの生活を始めた時、さまざまな刺激に慣れるように、とよく言われますよね。「ヒトに触られる」「首輪をつける」「工事現場の大きな音を聞く」など、とにかくいろいろなモノを見たり聞いたり嗅いだりといった経験をさせるようにします。それはすごく大切ですし、パピーは案外早くいろんな刺激に「馴化」してくれます。

では成犬ではどうでしょうか? 「苦手な刺激に慣らす」ということもよく行われていますが、これは「馴化」とは異なります。あくまでも馴化は「苦手」になる前に慣らすことを指しています。成犬の場合は「鋭敏化」された状態から、その反応をなくしていかなければなりません。すでにいろいろなことを学習をしていますので、パピー期のような「早く慣れること」が期待できないことが多いのです。これが一筋縄ではいかない大きな壁になっています。

この、学習によって鋭敏化された問題行動という難儀な行動に対しては、「馴化」という手続きは効果がありません。「パピーの時にもっと色々な刺激に慣れさせておけば良かった」と口にしても、それは後の祭りです。ただ、多くのケースでは、時間をかければ問題行動を修正することはできます。「馴化」ではなく「脱感作」で慣れさせることはできます。時間がかかるというだけの話です。修正できないとすれば、ヒトが我慢できないかイヌの寿命が尽きてしまうからだとみています。白紙のパピーに色付けする作業に比べれば、すでに色付けされた成犬を他の色に変えるには、どうしても長い時間がかかるのです。ヒトでも同じでしょう。

やるかどうかの判断は慎重に!

イヌの成長はとても早いものです。パピー特有の可愛さに見とれている間に、どんどん成長していきます。その貴重な時間にたくさんの刺激に触れさせて「馴化」する事で、成犬になってからの問題行動の発生を抑制できることはたくさんあると思うのです。でも、老い先短いイヌの行動修正については、やるかどうかも含めて、慎重に検討して欲しいのです。老犬に無理させるのは百害あって一利もないことが多いからです。

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