ウィジードッグクラブ

変性性脊髄症

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DMは症状が変化する進行性疾患です。進行に伴って愛犬の体勢や運動機能も変わってきますので、ケアの内容ややり方も変わってきます。

今回は、症状ごとのケアについてご説明致します。

初期

症状:後肢のナックリング、ふらつき、ウサギ跳びなど

まずは体重管理についてです。後肢の立ち方や歩き方が変わると、体重はこれまでとは微妙に異なる角度で後肢にのしかかるようになります。つまり、後肢の関節に対する負重の角度などが変わることになるわけです。ただでさえ無理な力が加わる可能性が高くなるわけですので、肥満にならないように管理することはかなり重要なケアとなります。

また、これまでと違って、後肢の運びがおぼつかなくなります。靴下や靴などをはかせてつま先を保護し、後肢を引きずったりナックリングしたりすることによるケガを予防しなければなりません。できるだけ早い時期からこういったアイテムに慣れさせておくことも大切です。

歩行意欲を維持させるべく歩きやすさに配慮しましょう。室内では滑りにくい床材を敷き詰め、場合によっては、滑り止め機能のある靴や爪にはめるゴム製グリップなども利用するとよいでしょう。

運動も積極的にやらせましょう。毎日の散歩も続けますが、一気に長距離歩かせるのは負担が大きいので、5分〜10分程度の短めの散歩を1日に複数回行った方が良いでしょう。ウォーターセラピーはDMの初期症状の犬にはありがたい運動となります。機会があればやらせてみましょう。バランスボールや足元不如意な場所を利用したバランス運動は、体幹の筋肉強化を図れるとともに、プロプリオセプション機能を維持することにもつながります。

その他、四肢を正しい場所に配置して立位を保持させたり、血流やリンパの流れを良くするマッサージを施したりすることも、カラダの機能維持に役立ちます。

中期

症状:後肢の筋肉量の減少、後躯麻痺など

体重管理や滑りにくい床材などの利用、積極的な運動、マッサージなどはそのまま継続します。運動時は後肢用のハーネスやカートの利用も検討しましょう。

後躯麻痺に陥ると、後肢の一部を引きずるようになります。つま先や膝、大腿部など床と擦れる部分を、服やサージカルテープなどで保護しましょう。

麻痺が始まると排尿のケアが重要になります。トイレまでの移動が間に合わない場合はトイレの場所や寝床の場所を変えることも検討しましょう。後躯麻痺により大腿部を床につけたまま排尿するようになると皮膚が汚れやすくなりますので、こまめに拭いたり洗うなどして清潔を保つようにします。

後期

症状:後躯不随、前躯麻痺、フセの姿勢が多くなる、尿失禁や便失禁など

体重管理や滑りにくい床材などの利用、積極的な運動、マッサージなどはそのまま継続します。カートは全身を支えられる4輪タイプが好適です。

自力で動くことが困難になりますので、ホットカーペットを利用する際は温度に注意しましょう。

排便・排尿のケアがさらに重要になります。必要に応じておむつなども使うことになりますが、つけっぱなしは蒸れやすく皮膚疾患の原因にもなりますので、こまめに拭いたり洗うなどして清潔を保つようにしましょう。

また、褥瘡(床ずれ)のケアも重要になってきます。伏臥位(フセの姿勢)の時間が増えるとヒジに褥瘡ができやすくなります。寝床は高反発なものを使用したいところです。座位や立位など頻繁に体位変換を行い、同じ部位が長時間圧迫されないようにすることが重要です。褥瘡のできやすい部位は血流が阻害されやすいのでマッサージも効果的です。

末期

症状:寝たきり、呼吸障害(腹式呼吸や声がかすれる)、嚥下障害、排尿困難など

呼吸による熱放散がしにくくなるため、室温は低めに設定するようにしましょう。

腹部を圧迫し過ぎないように気をつけながら圧迫排尿で膀胱炎を予防します。皮膚はこまめに拭いたり洗ったりして清潔を保ちましょう。

頭部を高めに保持して、誤嚥性肺炎に最大限の注意を払いながら、シリンジなどで少量ずつ給餌給水します。

寝たきりになると褥瘡になりやすい部位が、肩、腰、足首など骨が出ているところに拡がります。高反発のマットレスを使用しつつ、頻繁に体位を変え同じ部位が長時間圧迫されないようにします。マッサージに加えて患部の保湿を行うようにします。

呼吸障害が見られるようになったら、必要に応じて、酸素濃縮器を用いた酸素供給を行うようにします。


進行段階に合わせて適切なケアを行うことで、愛犬のQOLをできるだけ維持してあげたいですね。

プロフ

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