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変性性脊髄症

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昨今、大変な事態となった新型コロナウイルスによる感染症。その検査で、世界中で大きな話題となっているのが「PCR検査」です。コロナウイルスの遺伝子はDNAではなくRNAなのですが、一旦RNAをDNAに変換した上で増幅させるという手続でPCR検査が行われます。

実は、遺伝性疾患であるDMでも、脊髄変性の原因とされる変異遺伝子を検出するのに、このPCR法が利用されているのです。

遺伝子検査PCR法

PCR(Polymerase Chain Reaction:ポリメラーゼ連鎖反応)とは、DNA分子の特定の部分が2倍、4倍、8倍、16倍と増幅する反応のことです。その反応を利用して、DNAの特定の領域を増幅させることで、ごく少量のサンプルであっても特定遺伝子の有無を確認できるようにする、そんな検査法がPCR法です。医療現場にとどまらず、生物を対象とする自然科学の多くの分野でも、遺伝子の研究に広く用いられています。

PCR検査の手順

まずはDNAを高温処理することで、二重らせん構造である、つまり2本の糸のようなものが絡まっているDNAを、1本の糸=1本鎖DNA×2本に分解します。

次に、熱変性した1本鎖DNAの温度を下げながら、プライマーと呼ばれる物質をそれぞれに結合させると、プライマーは1本鎖DNAと同じものに変わります。つまり、異なる1本鎖DNAがそれぞれコピーされることになり、結局、元々の2本鎖DNAが2倍に増えたことになるわけです。このプライマーを1本鎖DNAに変化させる酵素が「ポリメラーゼ」です。

この作業を繰り返すことで、元々あった2本鎖DNA(いわゆる自然に存在するDNA)を2倍、4倍と増やしていけるんですね。手間のかかる作業ですので、世間では「PCR検査を増やせ」という声が高いのですが、おそらくそれもそう簡単なことではないのだと思います。

DM診断とPCR検査

DMは脊髄に現れる変異タンパク質(SOD1と呼ばれる酵素)が関係しているのではないかと疑われています。この変異タンパク質もDNAに含まれる遺伝子情報で作られますので、父親と母親から受けついだ2つの遺伝子を調べ、両方の遺伝子に変異タンパク質をつくる変異があった時に、発症のリスクを疑うのです。その遺伝子検査で、件のPCR法が使われています。

残念ながら、両方の遺伝子に変異が存在したところで、DMが発症しない子もいます。つまり、変異タンパク質とDM発症との相関関係がはっきりしていないわけで、DM研究も苦悩の連続となっているようです。

コロナウイルスのPCR検査でもその欠点が指摘されていますが、人の医学も獣医学も一朝一夕に簡単に結論を導けないことばかりなのでしょう。

日夜研究に勤しんでいる研究者の方々へのリスペクトを忘れないようにしたいと思います。

プロフ

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