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変性性脊髄症

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DMの呼吸障害

DMを発症した犬は、次第に、後肢⇒前肢⇒呼吸器の順に運動機能を失っていきます。それぞれの運動機能を支配する末梢神経の脊髄からの出口は、後肢より前肢、前肢より呼吸器の方が、より脳の近くにあります。DM犬の脊髄変性は次第に脳に近づいていくような進行となりますので、四肢麻痺になった後、最後に呼吸障害に陥ってしまうことになるわけです。

そもそも脊髄って?

脊髄とは、脊椎(背骨)の中にある長い筒状の空間を通る神経の束です。それは、主に、脳からの指令を手や足など全身の運動器などに伝える働きと、逆に外部の情報を全身の運動器から脳に伝える働きを担っています。つまり、脳と運動器をつなぐ情報伝達路、体内の主要道路といった感じですね。他にも働きはありますが、主な働きは主要道路としての機能です。

その主要道路からさまざまな運動器への脇道が出ています。主要道路が通行止めになると脇道も通れなくなりますよね。脳に問題がなくても、運動器に問題がなくても、脊髄という主要道路が使えないと情報伝達がうまく伝わらず、運動器を動かすことができなくなってしまうわけです。

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脊髄は、脳に近い部分から、順に「頚髄(首部分の脊髄)」、「胸髄(胸部分の脊髄)」、「腰髄(腰前半部分の脊髄」と「仙髄(腰の中間あたりの脊髄)」に分けることができるのですが、脊髄が損傷した時、その損傷部位が脳に近いほど障害は重くなります。つまり、脳からの伝達を脳から近いところで止められると、動かせない運動器の範囲が広くなるわけです。

ちなみに脊髄の長さはそれに応答する脊椎の長さより短いため、仙髄は腰椎の真ん中あたりにあることになります。

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呼吸をつかさどる筋肉とそれを動かす神経

呼吸という運動は、手足などによる多くの運動と少し異なっていて、無意識に行われる運動(不随意運動)と意識的に行える運動(随意運動)の両方が可能となっています。普段は、心臓や胃などと同様、意識しなくても肺が動いていますよね。でも、深呼吸しようと思うと意識的に肺を膨らませることもできます。心臓などはそういうわけにはいきません。

意識的運動(随意運動)で使われる主な筋肉は「横隔膜」と「肋間筋」です。横隔膜は腹式呼吸に、肋間筋は胸式呼吸に役立ちます。横隔膜は「頚髄(首部分の脊髄:第3〜5頚髄節=C3〜C5)」、肋間筋は「胸髄(胸部分の脊髄:第1〜12胸髄節=T1〜T12)」から出ている末梢神経に支配されています。そのため、脳に近い脊髄の損傷ほど重篤な呼吸障害を呈することになります。胸髄を損傷すると肋間筋の動きは制限されても、かろうじて横隔膜は動かせますので、腹式呼吸はできるのですが、頚髄をやられた時には、肋間筋だけでなく横隔膜も動きが制限されるからです。そうなると、わずかにのどを動かす呼吸しかできなくなるのです。

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犬の場合は、通常、胸と腹の両方を使う「胸腹式呼吸」をしています。DMの場合、脊髄変性が脳に近づいていきますので、まずは首ではなく胸の脊髄が機能低下していきます。ということは肋間筋の動きが悪くなる=胸式呼吸が困難になることを意味しています。腹部だけを動かす腹式呼吸になってしまうわけです。

脊髄変性がさらに進み、頚髄まで変性してしまうと、肋間筋のみならず横隔膜も動かせなくなってしまいます。

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