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変性性脊髄症

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DM犬のみならず、加齢や疾病などで寝たきりになると床ずれができることがありますよね。あれを医学用語では「褥瘡(じょくそう)」と言います。

第44回日本老年医学会学術集会では、ヒトの褥瘡について、「褥瘡とは局所における循環障害によって生じる皮膚および皮下組織の壊死(えし:組織が死んでしまうこと)である。しかし、圧迫や摩擦によって生じる単なる皮膚潰瘍としてではなく、基礎疾患や全身状態と密接に関連する全身疾患としてとらえる必要がある」としています。もちろん、ヒトについてですが、イヌでも同じ定義で良いと思います。

症状

褥瘡は、初期には皮膚が赤くなる程度(発赤)ですが、次第に痒みや痛みを伴い、進行するとただれや内出血が見られるようになります。重症化すると皮膚だけに留まらず、筋肉、骨、関節にも壊死が広がり、骨髄炎や関節炎を引き起こすこともあります。また、傷口から細菌が入ることで感染症を合併することもあります。「しかたがない」では済まなくなることもあるのです。

原因

褥瘡はいろいろな要因が重なって起こります。たとえば「圧迫」「摩擦」「温度」「湿度」「感染」などの直接的な環境要因や、「栄養状態」「貧血」「知覚・運動麻痺」「意識障害」「失禁」「発熱」「脱水」「年齢」「瘰痩」などの患者自身の身体要因です。そのうちのひとつの要因で起こるわけではなく、それらの要因が重なることで起こると考られています。

これらは、ヒトの褥瘡について考えられている要因ですが、定義同様、イヌでもほぼ同じと考えて良いでしょう。

環境要因

長時間や同じ姿勢を続けることで、自分の体重や補装具、寝具などがカラダの一部を圧迫します。褥瘡の一番大きな直接的な原因は圧迫です。その他に、カラダの一部を引きずったり衣服や寝具などでスレたりする摩擦や、汗をかくほどの高温、皮膚をふやけさせる高い湿度、外部からの細菌などの侵入が環境要因となります。

身体的要因

そんな環境に置かれた患者自身のカラダが低栄養状態だったり貧血になりやすい体質だったりすると血行が悪くなって褥瘡ができやすくなります。また、知覚・運動麻痺や意識障害などにより自分で寝返りをうてない状況が続いたり、失禁で皮膚がふやけたり、発熱や脱水で皮膚の乾燥状態が続いたり、といったことも大きなひとつの要因となります。さらに、カラダの機能全般に衰えが避けられない高齢者や、栄養状態が悪くクッションとなる筋肉や皮下脂肪が少なくなってしまった「極端にやせた人」なども、褥瘡ができやすいとされています。

予防

原因となることをつらつらと書きましたが、裏を返せば、それらの原因をつぶしていけば褥瘡のリスクは減る、ということなんですね。そこで、考えられる予防策について書きます。

全身管理

当然ながら、抱えている疾患を治療し、全身状態を改善させることが第一の褥瘡発生予防策です。ただ、なかなか治癒できない場合も多く、後記しますが、全身状態を維持改善するためには栄養を良好に保つことも重要なポイントとなります。

局所管理

褥瘡は、要因が集まる部位にできますので、全身管理のみならず、当該部位へのアプローチも必要となります。エアーマットなどの予防器具を使用する場合でも、患者の状態によっては2〜3時間ごとの体位交換して同じ個所に体圧が加わり続けないようにしなければなりません。清潔保持として、入浴させるのが良い場合もありますし、皮膚がふやけたり炎症を起こしたりすることのないよう、当該箇所に撥水性の高い軟膏や保湿クリームを塗ることもあります。

栄養

褥瘡発症の直接の原因は、圧迫・ズレ・摩擦などですが、低栄養である場合が多く、また栄養状態が悪いほど治癒しにくいため、栄養状態を良好に保つことは大変大切なこととなります。皮膚の再生に必要なタンパク質、特にアルブミン摂取は、褥瘡の予防や治療において重視されています。

その他、食欲低下を予防する亜鉛や貧血予防やコラーゲン生成に必要な鉄、カルシウムなどのミネラル摂取も大切ですし、コラーゲン生成にはビタミンCやDも必要ですね。

DMはいずれ寝たきりになる疾患です。専門機関でその原因追求と治療法の研究が続けられていますが、今、飼い主にできることは褥瘡を含めた「QOLの悪化」を防ぐことだと思います。

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